【上田市】キッチン喫茶・樹で「カツカレー」【閉店】
美しく花が生けられた店内で頂く、懐かしい記憶を蘇らせるカレー
まだ6月だというのに真夏の暑さ。日曜日の早朝10kmくらい走ったのだが、昨晩の寝苦しかったこともあり、若干バテ気味である。上田のアリオに買い物の用事があり、その帰りに寄ったのが上田城址のすぐ後ろにある「キッチン喫茶・樹」。ほぼ1年ぶりの訪問である。
古いマンションの1階にあり、なんとも目立たない店構えであるが、一歩足を踏み入れると、カウンターの上には綺麗に花が生けられた花瓶がいくつも並び、それらがスポットライトを浴びて、店内は実に華やかな雰囲気に包まれている。
前回同様、優しく迎えてくれた奥さん、すなわちカウンターを常に美しい花で飾っているご本人だが、この奥さんが実に品があるのだ。
この奥さんを見ると、小学生時代の同級生だったY君を思い出す。ちょっといい家のお坊ちゃんで、立派な家の玄関には同じように花が飾ってあった。そしてY君のお母さんが、この店の奥さんに似た、とても優しくて品のある女性だったのである。
カウンターには常連と思わしき一人客。食事を終えて、雑誌を読みながら寛いでいる。店内には心地良い、ゆっくりした時間が流れている。
店内はレトロながら小洒落た洋食屋といった趣ではあるが、メニューはラーメンから焼きサバ定食までと、まさに大衆食堂的。このギャップがこれまた良いではないか。
何を注文するか迷った挙句、「カツカレー(¥900)」を奥さんに注文。「カツカレーですね、ありがと〜」と奥さん。長野の人がよく言ってくれる「ありがと〜」(語尾がちょっと上がる)、って優しくて本当にいいよね。
程なくして運ばれてきたカツカレー。大盤のカツ。慣れ親しんだ色と匂いのカレー。これはたまらん。
早速カツから頂く。適度な厚みのある手作り。前回同様衣が剥がれやすいが、これも手作りの証。腹に入ってしまえば同じだ。
カレーはルーこそ業務用の既製品と思われるが、具は大ぶりにカットされたニンジン、ジャガイモがひとつづつ。そして肉はすじ肉である。すじ肉独特のグニっとした歯応えが楽しい。これは美味い。
付け合わせの手作りマカロニサラダも実に美味しかった。
結構ボリュームがあり、腹ペコもすっかり満たされた。お会計すると、奥さんが「ありがとうございました、ありがと〜」とダメおしのありがと〜。
そういえば思い出した。件の小学生時代の同級生だったY君の家で、一度カレーライスをご馳走になったことがあった。今思えばごくごく普通のカレーであったが、自分の母親が作るカレーとはまた一味違った、ちょっと上品な味がしたような気がしたものである。
40年も昔の記憶、あの時のカレーの匂いの記憶が蘇り、懐かしいような泣きたいような気持ちになった。素晴らしいランチタイムをありがと〜、と心の中で叫びながら、上田を後にした。