【上田市・レストラン】キッチン樹で「チキンカツ定食」【閉店】
僕の趣味の一つに、Googleマップで古めでいい感じの飲食店を探す、というものがある。我ながらどうしようもない趣味だが、僕の好みの店が見つかりやすい場所の法則が徐々にわかってきた。新しいバイパス道路よりも古い街道沿い、再開発された場所よりも旧市街、観光客が集まるところよりも地元民が集まるところといった具合である。それと僕の好みの店というのは大抵駐車場が狭い。大きな駐車場を持っていれば当然コストがかかり、メニュー価格に反映される。駐車場が狭くてご不便はおかけしますが、その分安く食べてもらいまっせ、という店が好きなのである。
そんな僕が今回見つけたのがここ。
上田城の敷地の北東の一角にある、昭和時代に建てられたと思われるマンションの一階でこじんまりとやっているこの店。
「キッチン樹」である。駐車スペースは店の前に辛うじて3台分だが、すぐ隣には上田城を訪れた観光客向けの大きな駐車場もある。
駐車場に車がなかったので先客はいないのかと思ったら、サラリーマンの三人連れがランチタイムであった。サラリーマンに日常使いされているということは安心できる。店の奥さんがとても優しく迎えてくれた。
カウンターにはものすごく豪勢に花が飾られている。祭壇のようだ。
洋食メインかと思いきや、ラーメンからチャーハンからレバニラ定食まであってまさにザ・大衆食堂といったメニュー。
「チキンカツ定食(税込¥800)」を奥さんにオーダー。
隣のサラリーマンは上司とその部下2人らしく、上司の武勇伝を部下がいちいち大袈裟に驚いたり感嘆したりしている。サラリーマンって大変だなあ(という僕もれっきとしたサラリーマンだけど)。
待つことおよそ10分強で到着。
美しいきつね色に揚げられたチキンカツ。結構なサイズだ。
しかし困ったことに箸で持ち上げるとこの衣がバラバラと剥がれて落ちてしまう。落ちた衣を再び肉の上に乗せ、落ちないように気をつけながら口に運ぶ。胸肉だがしっとりと柔らかく、肉自体に程よく下味もついている。カリッとした衣としっとりとした肉とのバランスが良い。しかし噛み切ると再び衣が落ちてしまうので、最後の方は面倒臭くなって肉と衣を交互に食べた。口に入れてしまえば一緒である。衣が剥がれてしまう問題は業務用のバッターミックスという粉を使えば解決するのであるが、素朴な手作りをし続けているという証拠でもある。
付け合わせの手作りマカロニサラダが美味い。具沢山の味噌汁も嬉しい。
衣が落ちてしまう問題はあったものの、チキンカツ自体はとてもおいしかった。衣が剥がれることをもってこれはダメとするか、細かいことは気にせず口に入れてしまえば十分美味しかったとするか、同じ体験をしても幸せな人と不幸せな人に分かれると思う。少なくとも僕は、奥さんの優しさも含めてとても幸せなランチタイムを過ごすことができた。
2切れ添えられたオレンジはよく見ると一切れはグレープフルーツであった。気遣いが細かい。
お会計の時「花がとても綺麗ですね」と奥さんに言ったらとても喜んでくれた。