いなやで「つけ焼きそば」
もうずっと前のことだが、中野には「つけ焼きそば」という市民のソウルフードがあるという話を聞いたことがある。何でもパイオニアの店はとうに閉店してしまったのだが、無くすのは惜しいとそれを再現した店がいくつかあるのだという。
ひょんなことからその話を思い出し、探し出して訪問したのがここ。
中野市街中心部にある「いなや」である。年季の入った外観はいかにも僕好みであるが、開店したのは意外と最近の一昨年であるらしい。内部は綺麗にリノベーションされている。
土曜日のお昼ちょっと前に到着した。店内は8割ほどの入りだろうか、待たずにカウンターに座ることができた。
今日は迷うことなく一番人気のいなや焼きそば大盛り(税込¥950)をオーダー。「麺硬めも出来ますよ」と注文を取ってくれたお母さんに言われたが、とりあえず今日はデフォルトバージョンを食べて見ることとする。
待つこと5分強、
山盛りの焼きそばが到着した。
皿の2/3ほどのスペースに焼きそばが山盛りに盛られており、残りの1/3のスペースに茶色の粘度の高いタレ状のものが敷かれている。
まず、そのまま焼きそばを啜ってみる。薄めに味付けはされているが、野外バーベキューの締めで焼きそばなんか作るでしょう。炒め終わってさあこれからソースを入れるぞ、という時の焼きそばに近い。あれはあれで美味しいんだよね。
次にタレを少量つけて焼きそばを啜ってみる。タレは甘辛く、なおかつピリッと唐辛子の辛味を感じる味噌ダレで、なるほどこれをつけると印象は一変する。何だか田舎のおばあちゃんの家に遊びに行ったらおばあちゃんが作ってくれたような、懐かしい感情を掻き立てるような味である。
麺以外の具はモヤシ・キャベツ・ニラ・人参、それと画像では見えないが皿の底に3cm四方の豚バラ肉が数枚隠されている。
最初からタレを絡めて炒めてしまえば良いではないかと思うかもしれない。しかし、そうすると全体的に単調な味になり飽きてしまうだろう。肉を口に入れるときはタレを多めにつけ、その後はタレなしで麺を啜り、後半はもうぐちゃぐちゃとタレと麺をかき混ぜて、というように自分の好みで味のコントラストをつけられるのである。
最初にタレを多めに消費すると、終盤タレ無しの味気のない焼きそばを啜るという事態に見舞われるので配分にはくれぐれも注意が必要である。
カウンターの隅にラー油・七味・タバスコといった調味料が置かれている。ラー油は大変相性が良い。七味はイマイチであった。意外とタバスコが合う。タバスコをかけると焼きそばというより焼きスパゲティという趣になる。
大盛りは440Gというボリュームであったが、様々に変化をつけながら食べたら結構ペロリと食べてしまった。
これも癖になる味だな。次回は麺固めにしてみよう。