【上田市】割烹ことぶきで「かつ丼」
かつての繁盛の面影が残る古びた割烹で頂いた豪勢なカツ丼
上田市別所温泉の南東部にある「上田市・新町」という集落。
近くには「無言館」という、第二次大戦下画家を目指しながら、志半ばで命を落とした美術学生の作品が展示された有名な美術館がある。
現在は上田市だが、かつてこの地は「塩田町」という独立した自治体であったらしい。その旧塩田町役場のあたりを目指してやってきた。広大な田園風景の中に、この辺りだけ住宅や店舗が集まっており、かつての面影を残している。
そこにあるのが今日のお目当てのレトロ食堂「割烹ことぶき」だ。建物は総2階建でかなり大きいのだが、現在使われているのは入口入ってすぐのごく一部のスペースとなっている。
今では使われていないスペースは宴会場のようだ。かつては大規模な宴会なども請け負って、さぞかい賑わったのだろうと想像される。
店内に入ると、たまたま店の人が奥に引っ込んだタイミングであったため、テーブルに座っていた常連らしきグループの中のおばちゃんが僕を小上がりに案内してくれ、お茶まで注いでくれた。恐縮してしまう。
メニューは定食と丼ものが中心。隅っこに申し訳程度のうどん・そば。ラーメンがないのは意外。
注文を取りに来てくれた店のおばちゃんにご飯ものでは一番安い「カツ丼(¥700)」を注文。
程なくして今度は年配の店主が運んできたカツ丼。
普通カツ丼といえばカツ丼と味噌汁、漬物くらいの構成だが、¥700の価格から予想していたのを裏切り、実に豪勢だ。
浅漬け・たくあんと言った漬物のほかに、冷奴、ナスの田楽、菜の花の辛子和えと3皿も小皿がついてきた。これを単に「カツ丼」と呼ぶのは申し訳ないくらいだ。街中の和食屋であれば「カツ丼御膳」として¥1,000くらいで出してしても十分通用する。ここに「割烹」のプライドを感じる。
肝心の味は、カツは小ぶりながら、味付けに品があり実に美味しい。小鉢もどれも美味しい。全般的に全般的に丁寧に作られている印象だった。
この店は穴場だ。また来ます。ごちそうさまでした。僕を案内してくれた常連のおばさんに丁寧にお礼を言って、店を後にした。