【長野市】あさひ食堂で「カツ丼」
一見敷居が高いが思い切って入ってみればパラダイスの穴場食堂
僕の好きなノスタルジックな食堂は、多くが家族経営ゆえ、日曜祝日は休みであるところが多い。日曜日でもやっている店をしっかり調べてから出かけないと、こっちも休みあっちも休みで昼食難民になりかねない(大げさかな)。
だが、自宅から車で10分くらいの近い場所に、日曜日でもやっているノスタルジック食堂がある。それが安茂里の「あさひ食堂」。
店の存在はずっと前から知っており、前を通りかかるたびに気になっていたのだが、さすがの僕もちょっと躊躇してしまうような、誰に対してもウェルカムとは言い難い佇まい。
僕の愛読するブログ、「信州裏グルメ情報」には度々登場するが、それ以外の情報は極めて少ない。
しかし先日、「あさひ食堂は昔はよく出前を頼んだ。あそこは安くて美味い」という方に出会った。
これは貴重な証言である。それで意を決して秋の日曜日に行ってみた。狭い駐車場に何回も切り返して車を停める。店の建物の周囲には雑然と物が置かれ、敷地の雑草も伸び放題だ。「やっぱりやめようかな」と一瞬怯んだが、思い切って店の引き戸を開けて店内に突入した。
思ったより広い店内には6人ほどの先客がいた。店内手前の土間スペースとなっており、真ん中に長テーブル。常連らしきおじさんおばさん4人が静かに談笑しながら昼間から焼酎を飲んでいる。窓際の二つのテーブルではこれまた常連らしき一人客のおじさん達がラーメンを啜ったり、食後に新聞を呼んだりしている。
誰もいない奥の小上がりに座る。常連客が集まっているところから少し離れた場所で救われた気持ちになる。
壁に貼られた達筆の手書きメニューから、「カツ丼(¥650)」をおかみさんに注文。定食からラーメンからうどんから一品料理まで幅広いメニューだが、一番高いのでもカツカレーととんかつ定食の¥800である。これは安い。しかも大盛りは無料サービスときたもんだ。
常連客の皆さんはそれぞれの時間を過ごしており、初訪問のぼっち客という圧倒的に弱い立場ながら、奥の小上がりに一人で陣取った事もあり、居心地は悪くない。改めて店内を見渡すと、少々雑然としたコーナーもあるが、決して不潔な印象はない。たくさんの焼酎のキープボトルが並んだ棚があり、夜は近所のおじちゃんおばちゃん達のオアシスとして、一層賑わうのだろう。
程なくしておかみさんが運んでくれたカツ丼は小鉢のサラダに小皿の和物まで付く充実ぶり。カツ丼は少し濃いめの甘しょっぱい煮汁でじっくり煮込まれたタイプ。いかにも昭和の食堂のカツ丼という感じで実に美味い。
小鉢のサラダにはチクワが一切れ入っていたり、なぜか隣の小皿のほうれん草のツナ和えがこちらのサラダにもちょびっと入っていたりと、嬉しくなるポイントが散りばめられている。期待以上の満足度だった。
ごちそうさまでした。敷居はちょっと高いが、ここは穴場だ。