山崎屋食堂で「上海ライス」

旧北国街道、軽井沢の追分から善光寺を経て北陸へ至る街道である。現在でも旧街道の面影を色濃く残しており、長野の人々の日常生活に馴染んでいる。僕もこの街道が好きで少し遠回りになってもこの道を通ったりする。以前通りがかりにふと見つけて気になったこの看板。今日はここ「山崎屋」にやって来た。

「一般食堂」というのがいい。「いや、うちはそんな大したもん出せませんけど、それでもよろしければ」という奥ゆかしさを感じる。

入口横には幼児用の自転車や三輪車が置いてある。

日曜日のお昼ちょうど。店内は向かって右側が5席のカウンター。カウンターの向こう側が厨房。右側は小上がりで座卓が二つ。優しげなお母さんが一人で切り盛りしている様である。

カウンターの両端には初老の男性と女性。女性の方は店主のおばちゃんと知り合いらしく、テレビから流れる「なんでも鑑定団」の低い査定をされたお宝を見ては「あら、気の毒ね」などとクスクス笑い合っている。

価格は全般的に安めだ。これは嬉しい。「上海ライス」とは何ぞや。おばちゃんに聞いてみたところ「ソース味の炒飯」とのこと。これの大盛り(¥600)を注文。ちなみに水ではなく熱いお茶が出される。

カウンターからは厨房の調理風景が全部見える。こういう店は安心だ。誤魔化しは出来ないから。

僕の直後にもう一人客が入ってきたのだが、調理中のおばちゃんに代わってカウンターでラーメンを啜っていた女性客が自発的にお茶を出し、その上注文まで聞いていた。

お母さんはおっとりした動きで上海ライスを調理しているが、5分ほどで無事完成。

これが上海ライスだ。

難しいことはない。お母さんの説明通りのウスターソース味のチャーハンである。他に何か隠し味があるとか、驚く様な物が入っているわけではない。具は豚こま肉、タマネギ、メンマである。ウスターソース味であるから味は特筆する様な点はないが、しっとりと美味しく出来上がっている。

添えられたちょっと黄色い大根の酢漬け、これが美味しかった。ちょっとカレーの風味がするのである。

おばちゃんに「これ美味しいですね。カレー粉が入っているの?」と聞いたら「こっちも食べてみて」と同じくカレー風味のマクワウリの酢漬けも出してくれた。こっちは大根よりも柔らかいがポリポリした歯応えが良い。酢漬けにカレー粉というのは初めて食べたが、お茶にもご飯にも酒にも合いそうだ。

日曜日の昼ごはん、料理上手な母さんが作ってくれたチャーハン、という趣だ。何だかとてもほっとして、腹も気持ちも満たされて店を後にした。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。