【須坂市】千成食堂で「五目揚げ焼きそば」【2022年閉店】

地味な見た目ながらしっかり美味しい実力派

長野市の東隣にある須坂市。長野県民以外にはあまり知名度もない街であるが、かつては養蚕産業で栄え、今も古い蔵が残るなかなか風情のある街だ。そんな須坂の街中にあるのがこの千成食堂である。前回、あまり期待もせずに入ったのだがラーメンが思いのほか美味しく、印象に残っていたのである。

駐車場は店舗の2軒隣、朽ちかけた倉庫のような建物に車を突っ込んで停めるようになっている。よくみるとこの建物の上部には「千成食堂」の文字がうっすら残っている。なるほど、こちらが旧店舗か。

平日の13時ちょっと前の訪問、店の引き戸を開けると、前回同様誰も客がいない店内で店のおじちゃんとおばちゃんは仲良くテレビ鑑賞中。慌てて奥の厨房に引き揚げていった。お邪魔してちょっと申し訳ない気持ちになる。

メニューは決して豊富とは言えないものの、食べたいものはひと通り揃っていてこれで十分。揚げ焼きそば(¥800)をおばちゃんに注文。おばちゃん、水と一緒にアルミの灰皿を持ってきてくれた。僕は非喫煙者だが、灰皿が目の前に運ばれてくるなんて経験は何年振りだろうか。懐かしいような、何とも言えない不思議な感覚になった。

ほどなくして運ばれてきた揚げ焼きそば。何とも地味なビジュアルである。クタッと煮込まれたキャベツの冴えない緑色、極め付けは上に振りかけられた青のり。あんかけ焼きそばに青のりは珍しいが、これが一層この揚げ焼きそばの顔色を悪くしている。ここに色鮮やかなナルトとか紅生姜があればだいぶ印象も変わるだろうが。それにしても、長野のあんかけ焼きそばには必ず付いてくる辛子と酢が見当たらない。

バリバリの麺をあんかけの下から引き出して噛み締めてみる。バリっとした食感の麺と、クタッとしたキャベツの甘み、それを取り持つ餡のベースとなるスープが美味い。酢は添えられていないが、すでに味付けの段階で入れられていた。キャベツに隠れているが、豚こま肉も結構入っている。見た目は映えないが、食べてみるとなかなか個性的な美味しさだ。バリバリの麺があんかけの水分で徐々に柔らかくなっていくのがこれまた美味い。個人的にはやはり青のりは不要で、代わりに辛子があれば嬉しいと感じたが…

見た目より結構ボリュームがあり、お腹一杯になった。見た目は地味ながら、実力はしっかりある。最近の映え重視で逆の店も多い中、こういう店の存在は何とも心強いではないか。

ご馳走様でした。あとはまた二人で仲良くテレビを楽しんで下さい。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。