【中野市】一力食堂で広東麺
地域の若者の腹ペコを長年満たしてきた食堂で食べる熱々の広東麺
ゴールデンウィークに突入した。3年ぶりに自由に行動出来るゴールデンウィークということで世間は盛り上がっているが、僕の勤務先は業務の性質上長期休みが難しく、通常の土日以外は5月4日の水曜日だけが休みである。したがって栃木の本宅に帰ることは叶わず、単身赴任先の長野で過ごすことになる。せめて美味いものでも、とやって来たのは中野市。
デカ盛りで有名な「一力食堂」である。敷地が奥に細長く、建物の手前が駐車スペースになっており、車は斜めに停めるようになっているのだが、これがかなり狭い。大きめの車は別の駐車場を使用した方が無難だ。僕も近くの公園の駐車場がガラ空きだった為そちらに停めさせてもらった。
入り口脇には未だにデカデカと「県外車お断り」の張り紙が貼ってあり、なかなかの威圧感だ。若干緊張して店に入る。
しかし店内に入ると、入り口すぐのテーブルでは4人の地元民と思われるお兄さんたちが賑やかに宴会中であった。県外車お断りなのに地元民の宴会はOKというものバランスを欠いているように思えるが、好意的に解釈すればこっちでウィルス感染させて他県に持ち帰らせたんじゃ申し訳ないから、ということかもしれない。ちなみに徒歩で訪れた僕に対してどこから来たか、などという店からの問いはなかった。
いかにも街の食堂、といった趣のメニュー。一番高いのでカツカレーの¥1,000ポッキリ、というのが実に嬉しいではないか。七ツ鉢ラーメンとからーそばとか色々と興味を惹かれるメニューもあるが、今回は堅実に広東麺(¥700)を奥さんにオーダー。ここの奥さん、特別愛想がいいわけではないが、常連の宴会のお兄さんたちにも同じようなテンションで接しているので実に居心地が良い。常連だけに愛想良くて初見の客には塩対応な店ってなかなか居心地が厳しいからね。
程なくして運ばれてきた広東麺。濃い色の醤油スープに浮かぶ透明なあんかけ。てっぺんの紅生姜の鮮やかな紅色がアクセントとなっている。
熱々のあんかけの分厚い層を掻き分け、麺を引っ張り出してみる。若干細めのストレート麺。加水が少なく噛むとパツっと切れるタイプだ。
透明はあんかけには白菜、玉ねぎ、少量の人参、ピーマンといったたっぷりの野菜と豚コマ肉。特筆すべきはシイタケの量の多さである。おそらく大きめのシイタケ2つ分は入っているのではないだろうか。箸で麺とあんかけの具を持ち上げるとそこには必ず白菜とシイタケが入っているという具合である。あんかけは薄味だが、醤油の色濃いめのスープを混ぜ合わせるといい塩梅である。
いつまで経っても熱々を保つあんかけと、その中に沈みつつもそう簡単に伸びることはなくしっかりした歯応えを保つ麺。広東麺を食べた時はいつものことながら、若干口の中を火傷しつつ、また噴き出る汗と鼻水に苦慮しながら食べ終えた。いや〜実に美味かった。
隣の宴会のテーブルのお兄さんは締めにカツカレー大盛りを頼んでいたが、到着したカツカレー大盛りを見て悲鳴を上げていた。思わず僕も目をやったが、とても飲んで食っての締めに食べられる量ではない。
今年こそ県外車お断りの張り紙を安心して剥がせる日が来ることを願いつつ、店を後にした。