【上田市】日野出食堂で馬肉うどん
信州最古の温泉街の名物、優しい歯応えの馬肉うどん
日曜日、ジョギングを終えてやって来たのは、別所温泉。開湯から1400年、信州最古と言われる歴史のある温泉街だ。温泉街の中には国宝安楽寺や国重要文化財の常楽寺がある。
上田駅からは上田交通別所線というローカル私鉄が伸びており、別所温泉駅から温泉街の中心へは500mほど歩く必要がある。この通りの鄙びた雰囲気が僕は大好きだ。
1月下旬という時期柄だろう、通りには卒業旅行らしい若者数人のグループの姿が目立つ。卒業旅行に別所温泉を選ぶとは、なんとも渋いではないか。
温泉街の奥の方にあるのが、お目当ての「日野出食堂」だ。
駐車場は店の隣に2台分。入り口上に掲げられた看板は右から左読みであるが、字体は現代風なのがアンバランスでちょっと態とらしく感じる。
しかし一歩店内に入ると、リアルに歴史を感じさせる重厚な空間が広がる。天井の梁には碍子に支えられた電気線(おそらく現役ではないと思うけど)。現役の振り子時計。磨き上げられた階段。
壁に面した座卓に座る。上田の名物「馬肉うどん」はこの界隈ではこの店が元祖とのことで、これを注文(¥700)。
程なくして運ばれてきた馬肉うどん。
茶褐色に煮込まれた細切れの馬肉はすき焼き風の甘辛い味付け。これが長野特有の柔らかいうどんの上に乗っている。つゆは出汁の風味控えめのこれまた長野風。
長野の歯ごたえのない柔らかいうどんを初めて食べた時は「うむ、長野はやはり蕎麦に限るな」と感じたものだが、不思議なものでこの柔らかく優しいうどんもこれはこれで美味しく感じるようになってきた。
僕が帰るタイミングで、恐らく卒業旅行と思われる男子学生達が入れ違いで入って来た。間抜けな僕は靴を履くときに財布を落としたことに気付かず、財布を見つけた学生君が店の外に出た僕に届けてくれた。なんと親切な!ありがとう!君達の未来に幸あれ!
優しい歯応えのうどんと学生君の親切に心温められた一方、自身の相変わらずの不注意さに打ちひしがれて別所を後にした。