【長野市】食事処三倉で「煮かつ定食」
昭和時代のニュータウンの中心で住民と共に時間を重ねてきたオアシス的食堂
安くて美味い店だけでは飽き足らず、そこに「古い」と言うキーワードが加わる店ばかり訪問している今日この頃。今年の1月からは「長野ノスタルジック食堂」というインスタグラムも始めている。いい感じの店が見つかりやすいのは駅の周辺、役場の周辺、そしてこれは割と最近発見したのだが、古めのニュータウンの中に意外といい感じの古めの店がある。恐らく当時のニュータウンの開発計画の中に、住人のための食事処も作ろうということで誘致され、地域に愛される食堂として何十年もやっているパターンである。
今日やってきたのは浅川団地というオールドニュータウンの中心地にあるこの店、
「三倉」である。結構立派な店構えだ。日曜日の昼、勇んで突撃。
立派な外観から想像するより客席は意外とコンパクトである。土間には6人ほどが座れる大テーブルが一卓、小上がりに座卓が三つ。ただし、2階に宴会場もあるようである。僕の他に客は誰もいない。なぜか店内に「生そば」の暖簾がかけられているが、メニューにそばはない。恐らく昔はここのご主人が自ら蕎麦も打っていたのだろうが、年齢と共に蕎麦打ちは引退したのだろう。こういう哀愁を誘う要素もこの手の店にとってはたまらない魅力である。
優しそうな奥さんが注文を取ってくれた。「煮かつ定食(¥750)」を注文。奥さんの他に人影は見当たらない。この奥さん一人で切り盛りしているのであろうか。
10分ほどで到着。と同時に客が入ってきた、と思ったらこの店の旦那さんらしい。どうやら出前から帰ってきた様だ。なるほど、店には客がいなくとも出前の需要というのは結構あるらしい。オールドニュータウンゆえ、住人も歳を取り、出かけるのが億劫な時に近所に出前をしてくれる店があったら重宝するだろう。
長野に来て初めて出会ってカルチャーショックを受けたスタイルの煮カツ、すなわち味付け濃いめ、煮汁少なめで千キャベツと共に盛り付けられているスタイルである。同じ皿にデザートのフルーツが盛り付けられており、場合によってはおかずの熱や煮汁が移ってしまっているのも長野のあちこちで出会ったスタイルである。カツの肉は決して厚くはない。しかしこれで十分である。卵の溶き具合がこれまたよい
煮汁が少ない分、味付けは濃いめでご飯との相性は抜群である。小鉢の手作りポテトサラダも、きゅうりの古漬けも実に美味い。
結局最後まで店内の客は僕一人であったが、近所の住民に愛されている店であることは間違いない。どうか1日でも長く浅川団地の住民のオアシスとして頑張ってほしいと願いつつ、店を後にした。