【長野市】ホワイトタイムで「すいとん定食」

バブルの頃の面影を残す里山のローカルレストラン

12月中旬の土曜日、今日のドライブの目的地は鬼無里。ドライブのBGMは今年デビュー50周年、自身がファン歴33年のユーミンの50周年記念アルバム、その名も「YUMING BANZAI」。

僕より年上のユーミンファンは、「やはりユーミンは荒井由実時代が最高」という方が多いが、昭和40年第末生まれの僕にとっては松任谷由実になってからの、旦那の正隆氏と作り上げたポップミュージックこそユーミンである。

今にも雪が降りそうな空の鬼無里の中心部には人っ子一人見当たらないが、そんな中健気に営業しているのが「ホワイトタイム」。

鬼無里の里山の風景とはちょっと異質の真っ白な外観。しかし程よく草臥れてそれなりに馴染んでいる。店の入り口のドアには「出川哲朗さんが食べた焼きカレー」と手書きのポップが誇らしげにデカデカと掲げてある。「充電の旅」のロケで訪れたらしい。

店に入ると、客はいない。感じの良い奥さんが出迎えてくれる。「出川哲朗が来たんですね」と話しかけると、当時のロケの様子を嬉しそうに話してくれた。

これまたバブルの頃っぽいデザインのメニューから、「すいとん定食」を注文。それにしてもすいとんを定食にするとはなかなか珍しい。

注文を終えて店内を見回す。テーブルのレイアウト、すっかり変色した壁紙の柄、ライムグリーンの合皮のソファ。まさに昭和末期から平成初頭にかけての、世の中がバブルの絶頂で浮かれていた頃のセンスをそのまま残している。当時は「私をスキーに連れてって」の影響で若者はこぞってスキー場に繰り出し、今では静まり返った鬼無里にも、白馬や戸隠でスキーを楽しんだ後の派手なスキーウェアで身を包んだ若者たちが、セリカやスターレットで押し寄せたに違いない。そして車内のカセットデッキからは流れるBGMはユーミンや渡辺美里や広瀬香美であったことだろう。

そんなことを妄想しているうちに奥さんがすいとん定食を運んできた。鉄鍋に入ったすいとん汁、サラダ、小鉢、野沢菜、ご飯で構成されている。

すいとん汁の中には手作りのすいとん、じゃがいも、人参、玉ねぎといった馴染みの野菜と、その上コゴミ、一見キクラゲのような見たことのないキノコまで入っている。

汁は味噌で味つけられているのだが、この味噌がしみじみ美味い。初めてみるキノコはグニュっとした食感だ。なんというキノコだろうか。こういうのを頂けるのが鬼無里らしくて嬉しい。

手作りの野沢菜を頼りに、ご飯を味わう。このご飯がまた甘くて美味しかった。

食べ終わる頃に地元の人らしい一人の男性客が入ってきて慣れた様子で生姜焼き定食を注文した。

時間と共に移ろう若者の流行と、移ろうことのない鬼無里の風景、美味い料理、ユーミンのポップミュージックをしみじみ噛み締めつつ、鬼無里を後にした。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。