【中野市】マルキン食堂で「みそラーメン」【2023年9月閉店】
街道沿いの目立たないが店主の腕は確かな良食堂
6月のある日曜日。ジョギングを終えて昼飯にやってきたのは中野市・旧豊田村中心部付近にある「マルキン食堂」。
車通りはそこそこある国道沿いにありが、店への入り口は狭い。店の建物自体は大きめの箱型で明るい茶色というかオレンジ色というか、目立つ色なのだが、大きな松の木に隠れてしまいちょっと道路からは認識しづらく、うっかりしていると通り過ぎてしまう。
今年のゴールデンウィーク終盤にお邪魔して名物の「かた焼きそば」を食べた時は大変混雑していたのだが、今回は12時半の訪問で先客なし。
前回からいらっしゃる若い頃の田代まさしにちょっと似たお兄さんが新たにスタッフとして加わっており、元気に愛想良く出迎えてくれる。調理担当は変わらず壮年のがっしりした体型の店主。店主のお母さんらしき女性が調理の手伝いを、店主のお父さんと思われる男性は厨房着を着てはいるが客席の椅子に座ってテレビを見ており、常連客が来ると相手をする。アットホームでのんびりした雰囲気だ。
今回は初めて「味噌ラーメン(¥600)」を注文してみた。
程なくして田代まさし似のお兄さんがそーっと運んできたのは、大き目の丼に並々張られたスープの味噌ラーメン。
一見普通の味噌ラーメンだが、レンゲを入れて熱々のスープを啜ってみるとかなり個性的な味噌ラーメンだ。
表面こそ味噌ラーメン的な濁りがあるスープの色だが、レンゲを入れて啜ってみると下は濁りの少ない醤油ラーメンスープの色だ。味の最初の印象も醤油ラーメンで、少し遅れて味噌ラーメンのコクのある風味を感じる。
そのハイブリッドなスープに白菜、ピーマン、小松菜、モヤシ、人参といった炒めた野菜の香ばしさと豚肉の旨みが合って、これはこれでとても美味しい。
麺は細めながら、ちゃんと歯応えが残されている。
ボリュームは十分。味も濃すぎず薄すぎず、全部食べ終えてもやたらに喉が渇くようなことはない。
この店はいつもちょっとした驚きがあって飽きない。全メニュー制覇目指して通いたい良店だ。
…と思っていたのだが、残念ながら9月に突然閉店してしまった。なんでも店主が急に亡くなってしまったらしい。初めて食べたモツ煮の美味しさに感動し、次に訪れた焼肉丼の上品な味付けにも驚いた。もっといろいろ食べさせてもらいたかったのだがとても残念だ。
心よりご冥福をお祈りします。