【須坂市】ニュースコーで「ナポリタン」

須坂の盛衰を見守ってきたノスタルジック喫茶店

僕が「須坂の軍艦村」と勝手に名付けている「パルム」。

昭和44年に開業した、1階が屋内型商店街、2・3階がアパートとなっている、当時としては画期的なスポットだったのだろう。開店当初は単に「ショッピングセンター」という名前であったが、平成初期のリニューアルオープンの時に「パルム」という名前がつけられたらしい。

パルムの歴史が紹介されているサイトがある。当時の須坂市内の賑わいには驚くばかりだ。

今ではほとんどのシャッターは閉じられたままで、ポツポツと洋品店が営業している程度。しかし、細長いパルムの両端にある「かねき」と「ホームラン軒」の2店の飲食店は大人気で、いつも行列ができている。

そんな繁盛店の中間でひっそりと営業しているのが「ニュースコー」という、ショッピングセンターの開店当時から営業している喫茶店。

日曜日のお昼過ぎに訪問してみた。入り口には華やかなショーケース。どれも驚くほど値段が安い。階段を上がってレトロなドアを開けると、雰囲気はもう昭和そのまま。おそらく開店当初から雰囲気はそう変わっていないのだろう。

子供の頃、父に連れられてこんな喫茶店に来てアイスを食べたことを思い出した。当時の喫茶店はタバコとコーヒーの匂いがして、それがまたたまらなく良かった。ここは禁煙なのでタバコの臭いこそしないが、店内に染みついたコーヒーの香りが幼い日の記憶を掻き立てる。

意外なことに2組の先客は若い人たち。若い人にはこの雰囲気、逆に新鮮に映るのかもしれない。僕の直後に一人でやってきたのも僕より若い男性だった。

注文したのはナポリタン(¥450)。もっちりとした食感の太麺に、ソーセージ、タマネギ、ピーマンの具、ケチャップの赤も鮮やかな正統派ナポリタン。実に美味しかった。

きちんとお化粧をした店のマダム、もう40年以上もやっているのよとイタズラっぽく笑った笑顔がとてもチャーミングだった(店の歴史は50年以上だがこちら店主は2代目なのだという)。

ここは須坂の、そしてこのショッピングセンターの歴史の貴重な生き証人だ。贅沢な時間をありがとう。ごちそうさまでした。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。