【塩尻市】正和食堂で「山賊定食」
山賊焼発祥の地で山賊焼を豪快に丸かじり
食堂S.Sで素晴らしい朝食を楽しんだ後、塩尻市街に戻ってきた。しかし時刻はまだ朝の10時前、周辺にはこれと言った見どころもなく、ショッピングモールの駐車場に停めた車の中で少々仮眠する。
お昼が近づいて来た。今日の2番目の目的は、長野名物「山賊焼」の発祥の地で本場の山賊焼を食べてみようというわけ。山賊焼発祥の地については例によって諸説あるが、ここ塩尻か隣の松本と言われている。要するに「この辺り」であることは間違いない。
その中でも、このブログの趣旨に沿う古めの店ということで探し当てたのが、ここ「正和食堂」である。
カウンター4席と小上がり3卓のコンパクトな店内。11時半頃の入店で、すでに2組の先客。出迎えてくれたお姉さん(とは言っても僕より少し年上だが)は素っ気ない対応である。実はこの店にも前日やっているかの確認をしたのだが、その時も「やってますけど何名で来られますか?」となかなかの素っ気なさであった。しかしこの趣味を始めてからは、通り一遍の愛想にも飽きてきて、よほどひどくなければ素っ気ない接客というのも興味深く観察できるようになってきた。
ガラスの向こうの厨房には高齢のご夫婦。このお姉さんの両親と思われる。
潔くご飯物だけのメニュー。しかも揚げ物が多い。迷うことなくお姉さんに山賊定食を注文。大と中の価格差がたった¥100であるが、まだそれほど空腹ではなかった為、中とした。
程なくして運ばれてきた山賊定食。山賊焼の迫力がすごい。しかも色合いのバランスが素晴らしい。そこにキラリと光る、骨に巻かれたアルミホイル。「豆腐には味がついています」とお姉さん。
モモの一枚肉、ノーカットである。ナイフやフォークは付いていないので、かぶりつくしかない。女性にはちょっと厳しいと思われる。頼めば切ってくれるのかもしれないが、あのお姉さんに頼むのはちょっと勇気がいるなあ、などと考えつつアルミホイルの部分を持ってかぶりついてみた。
これは美味い!揚げたてのカリッとした衣の下には熱々のジューシーなモモ肉。これまで食べてきた山賊焼はニンニクが効いていたものが多かったが、これはニンニクもしょっぱさも控えめの上品な味だ。
最初は食べ切れるだろうか、と怯んだ大きさだが、上品な味付けのお陰で全く飽きることなく食べられる。添えられた塩とカラシが良いアクセントとなってくれる。これだったら大サイズを頼んでおけば良かった。美味かったのは山賊焼だけではない。ご飯も、キャラぶきも、予め味がつけられた豆腐も実に美味しかった。
お姉さんにお会計を申し出ると、「昨日電話くれた方?」と尋ねられた。「そうです、長野市から来ました」と答えると、「あら〜長野から来てくれたの、ありがと〜」と笑顔で応じてくれた。このお姉さん、不思議なことにどの客にも入店する時は塩対応なのだが、お会計の段になると愛想良くなるのである。このツンデレぶりに吹き出しそうになりながら、店を後にした。
塩尻遠征は大成功であった。