社員食堂で「B定食(ラーメン・唐揚・半ライス)」
以前、Googleマップで良さげな食堂を捜索していた時、中野で見つけたのがここ「社員食堂」。しかし最初はどこかの企業の社員専用の食堂で、部外者は入れないのではないかと思って板が、どうやら誰でも入れるらしい。しかもなかなか年季の入った良さげな雰囲気ではないか。これは行ってみなければなるまい、と思ったのが半年ほど前、この度念願かなって初訪問となった。
この店、2002年に廃線となってしまった長野電鉄木島線の中野北駅跡のすぐ横なのである。だから社員食堂とはいうものの駅前食堂でもあったのである。社員食堂という名前の由来であるが、ここが小さな工業団地の一角にあり、出来た当初は周辺に飲食店もなかったため、工業団地内の一企業が誰でも使える食堂の経営も始めたのがスタートらしい。実に素晴らしい企業ではないか。
入ってすぐの土間にテーブルが3つ、カウンターが4席、小上がりもある。土曜日の昼ちょっと過ぎの入店であったが、カウンターには2人、テーブルには4人組の仕事中らしき男性客がいる。いずれも常連客と思わレ、カウンターのおじさんは昼間から酎ハイを飲んでらっしゃる。一方、店側はお母さん一人で切り盛りしているようだ。
カウンター上に貼られたメニュー。鳥唐揚げにラーメン、半ライスがついたB定食が目に留まる。こういうあれこれ食べられるセットメニューに弱いのである。テーブルの4人客も料理を待っており、お母さん一人では相当時間がかかることを覚悟した。しかし一見おっとりしたお母さんなかなか手際がよく、次々と料理を仕上げていく。最後の僕のBセットも10分強で出来上がった。カウンターの一番隅っこに座っていた僕に「狭くない、大丈夫ですか?」と笑顔で聞いてくれた。なかなかチャーミングなお母さんだ。
これはいいなあ。
ラーメンにはすでに粉末コショウが結構な量振り掛けられている。麺はやや柔らかめの茹で上がり。スープはオーソドックスな鶏ガラベースで、ほのかに生姜の香りが鼻に抜ける。ごくごく普通でありながらしみじみ美味い。具はわかめとネギとナルトである。この価格でこのボリュームのセットのラーメンだからチャーシューがないのはまあ仕方ないが、メンマだけでもあると嬉しいな。
唐揚げは鶏肉を水溶きの衣に潜らせたタイプで、下味もあっさりしており鶏天に近い。これだけだとご飯のおかずにはちょっと物足りない程度の味付けだ。
しかし、ラーメン、唐揚げ、ご飯というローテーションで食べていくとこのあっさり具合がちょうど良い。
「半ライス」とあったが小ぶりな茶碗に大盛りに盛られておりボリュームは十分だ。この工業団地で働く人たちに幸せなランチタイムをもたらしてきたのだろう。
お母さんに会計をお願いする。「おいしかった」と言ったら何度もありがとうと言ってくれた。
いや、またいい店見つけた。お母さん一人では大変だろうと思うが、客にも愛されている感じが伝わってくる。元気で長いこと続けてほしい。