天津飯店で「酸辣湯麺」
勤務先から車で5分ほどのところにある「天津飯店」。目立たない店構えながら、地元テレビの取材なんかも入ったりして根強い人気だ。ほとんど消えかけた看板とちょっと色褪せた暖簾で、これらを新しくすれば新たな客も呼び込めるのではと余計なお節介も浮かぶのだが、常連だけでもう十分という店主の考えなのかもしれない
金曜日のお昼過ぎだが、今日はカウンターに空きもある。
店の外観とは裏腹に、結構本格的なメニューラインナップ。いわゆる普通の醤油ラーメンがない。しかし味噌ラーメンはある。この辺りが謎だが、おそらくここの店主は本格中華店での経験があると見た。厨房のまな板も分厚くて丸いやつだし。
前回食べたレバニラ炒めは実にあっさりした味付けだったが、日常的に食べるのはあれくらいでちょうど良いと思える味だった。一口目から「美味い」と思えるような味付けって食べ進めるうちに喉が渇いて、食べ終わった後体が疲れる。30代までは平気だったんだけど。
今日は何か麺類を食べてみようと、「辛い酸味ラーメン(酸辣湯麺)」をオーダー。
5分ほどで湯気をモウモウと上げながら到着。卵の黄色・スープとニンジンの赤色が鮮やかだ。
上の具は豚肉・キャベツ・人参・タケノコ・椎茸・玉ねぎ・キクラゲ・フクロタケ・シャキシャキした丸いのはえーと、クワイだ。椎茸が生ではなく、干し椎茸を戻したやつなのが芸が細かい。フクロタケとかクワイを具材として使うのが本格的だ。野菜の量がたっぷりなのが嬉しい。
麺は中太の透き通った加水麺。熱いスープの中でもしっかりとした歯応えを保っている。
フーフーして啜り込む。例によって一口目のパンチは控えめだ。酢のさっぱりした味と、飲み込むとじんわりくる辛味がある。食べ進めるにつれ、スープの出汁と具材の旨さを感じて「うむ、これくらいでちょうど良いな」と思えてくる。
ここの味付けは若い人には物足りなく感じるかもしれない。ただ、僕のような中年以上の年代にとっては、これくらいのあっさり加減が嬉しい。食べると体が健康になるような気がする。通えば通うほど、また通いたくなる。不思議な店だ。