翁そばで「ミニカツ丼とかけそばセット」
このようなブログでも一通り読んで下さった方であれば、僕の飲食店の好みの傾向が何となくお分かり頂けるのではないかと思う。すなわち、新しい店よりは古い店、一口目で美味しい、と感じるようなパンチのある味よりもしょっちゅう食べても飽きないような程々の美味さ、味だけではなく居心地の良さも重視、と言ったところであろう。
特に、長いことやっている店というのは、それだけ人気の秘訣があるということだ。秋山食堂のように未だ大繁盛、とまでは行かなくとも何十年も細々とやっているような店にも興味を惹かれる。
暇さえあればGoogle Mapで年季の入った店探しという、どうしようもない趣味を持つ僕が見つけたのがここ、
「翁そば」である。
メイン通りからちょっと入った、古い団地の片隅みたいなところで営業している。いいね〜この店構え。
日曜日のお昼をちょっと回った時刻、引き戸を開けると、いきなりカウンターが4席、カウンターの目の前は壁で、壁のそちら側は小上がりになっているようだ。客はいないようで、テレビの音が店内に響き渡っている。
「こんにちは〜」と入っていったら、どうやら店の夫婦は小上がりで新婚さんいらっしゃいを見ていたらしく、慌てて降りてきた。邪魔して申し訳ない気持ちになる。
お母さんが出してくれたそば茶が美味い。香ばしくて旨味を感じる。ミニカツ丼のセットを注文した。そば大盛りにしようか迷ったが、お母さんが「普通でも結構ボリュームはありますよ」と教えてくれたので、今日は普通盛りで様子を見ることとした。
待つこと8分ほど、
おお、結構充実したセットだ。
そばは太めで歯応えがあり、食べ応えのある田舎そば。辛めのつゆとの相性が良い。
カツ丼は厚みのあるロース肉をしっかり目に揚げ、甘さ控えめの味付けがされている。卵もしっかり目に火が入っている。ちょっと懐かしいタイプのカツ丼といった趣だ。
素朴な味付けの野菜の炊き合わせと漬物も染み入る美味さであった。
いずれも、昔からの味をしっかり守っている印象だ。今時の感じではないが、それが逆に新鮮に感じる。
いや〜しみじみ美味かったなあ。帰り際お母さんに「美味しかったです」と伝えるととても喜んでくれた。もう40年もここで商売をしているらしい。再訪を約束し、腹も気持ちも満たされて雪の舞う外に出た。