【麻績村】小松屋食堂で「ラーメン竜田揚げライス」
すっかり寂れた聖高原駅前で健闘する家族経営の名食堂
6月下旬の土曜日、2年ぶりにやってきたのは、聖(ひじり)高原駅前の「小松屋食堂」。駅から車で15分くらいのところにある美しい人造湖「聖湖」は今では釣り人の姿くらいしか観られないが、昭和のレジャーブームの頃は、全国から沢山の人々が訪れて相当な賑わいだったらしい。実際、僕が長野に来た6年前には湖畔に大きなホテルの廃墟があった(数年前に解体されてしまった)し、湖畔を少し登ったところには別のホテルの廃墟もある。
その聖湖の玄関口となる聖高原駅前も、かつては飲食店や商店だったと思われる面影を持つ建物が立ち並び、往時はさぞかし賑わったであろうという名残はあるものの、今ではほとんどが廃業しており、人通りも地元の人が時折車で通りかかるくらいで、観光客の姿は全くと言っていいほど見られない。そんな寂れた聖高原駅までどっこい健闘しているのが、「小松屋食堂」である。
2年前に訪れた時は「旅館・食堂」の看板を掲げていたが、今回はその看板は外されてしまい、「食堂」だけとなっている。しかしこの食堂が実に魅力的なのだ。
12時半過ぎに入店すると、小学生の男の子を連れた家族連れが食事をしている。小さな子供を連れて、ランチの場所にこの店をチョイスするとは実に渋い趣味ではないか(と言っても周辺に食事出来る店がほとんどないので止むを得ずこの店を選んだのかもしれないが)。
広めの客席にはテーブルがずらりと並べられ、その気になれば30人くらいの客は受け入れられそうだ。
客席と厨房を仕切る壁の上にずらりと貼られたメニュー。一番高いのがカツカレーの¥830だ。迷った挙句、「ラーメン・竜田揚げ・ライス(¥780)」という中年男子にとっては禁断の組み合わせを奥さんに注文。
程なくして運ばれてきた禁断のセット。
予想とは違い山賊焼き風の一枚肉をカットした竜田揚げ。透き通った美しいスープに穂先メンマが目を惹くラーメン。ご飯の盛りも実に気前がいい。
鶏ベースの透明度の高いラーメンスープを啜ってみると、一口目のパンチは弱めだが、しみじみと優しい旨味を感じる。最後の一滴まで飲み干したくなる。しっかりした噛み応えのロースチャーシューがこれまた旨い。穂先メンマがいいアクセントになっている。
個性的な竜田揚げはジューシーな鶏もも肉に薄めの衣を纏ってパリッと揚げられている。これもあっさりしていて飽きがこない美味しさ。
ボリューム満点でお腹は一杯になったが、胃がもたれたり喉がやたらと渇いたりすることはない。実に体に優しい満腹感だ。
昭和から時が止まったような聖高原駅前にある、これも昭和時代そのままの雰囲気の食堂。
しかし後継がしっかりと店を守り、その実力は令和の現代にあっても十分に通用する。この名店が1日も長く続いてくれることを祈りながら、店を後にした。