【長野市】萬宝食堂で「焼きそば」
腹ペコ男子を満たす商売っ気のない隠れた名店
10月中旬の日曜日。川中島古戦場公園まで往復15kmのジョギング中、今日の昼飯は「萬宝」にせよ、というお告げが突然ビビッと降りてきた。
部屋に戻って、シャワーを浴びたら矢も盾もたまらず車を走らせる。
相変わらず、割れたままの看板、店内に入ると照明は一部しか点灯しておらず薄暗い。小上がりの畳はすっかり色褪せており、ここに座るのはちょっと躊躇する。そしていつもながらの素っ気ない接客。およそ商売っけというものがない。
少なくとも、彼女とのデートにこの店を選ぶべきではない。しかし、肉体労働をした後、あるいは激しい運動をした後の男達にとって、こんなにふさわしい店があろうか。ジェンダーレスが叫ばれる令和の時代にこんなことを言ったら怒られそうだが、この店はまごうことなく「腹を空かした男のための店」である。
この店はカツ丼とモツ煮が有名だが、今日はネット上にもほぼ情報がない「焼きそば」に興味を惹かれ、注文してみた。果たしてソースかあんかけか。
すると「揚げそばで硬いけどいいですか」と店主。なるほど、もちろんそれでオッケーです。
待つことしばし、ご主人自ら運んできてくれたのは、
中華麺を揚げたのに、中華丼のアタマを載せたもの。
一緒に運ばれてきた酢を多めにかけ、皿の端に添えられたカラシを少しづつまぶしながら口に運ぶ。
あんかけはキャベツ、モヤシ、キクラゲ、タケノコといった野菜に豚肉、エビ、かまぼこといった具材がふんだんに入っている、具材への火の通し具合が絶妙だ。ベースとなる豚ガラスープに塩味。塩気がほんの一振り強めなのがこの店の特徴なのだが、これが運動後の体に有難いのだ。
最初はバリバリと硬かった麺が、徐々にあんかけの水分を吸って柔らかくなっていく。この柔らかくなりつつも中心部には少し芯が残っているくらいが一番好きだ。
いや〜美味かった。結構なボリュームだったが、飽きることもなくペロリと平らげた。また腹ペコの時に来ます、ご馳走様でした。