【大町市】よしの食堂で「すき焼き定食」
大町駅前の盛衰を見守ってきた昭和46年創業の大衆食堂
黒部アルペンルートの長野側の玄関口、大町市。かつては黒部ダム建設に携わる人々や、登山者で賑わったと思われ、駅前からは街の規模にそぐわない立派なアーケードが1km近く延々と伸びているが、今は歩く人の姿もまばらで、シャッターを下ろしたままの店も多い。
アーケードの駅前通りを横に入ると、そこには昭和時代そのままの、実に魅力的な繁華街が広がっている。
今日訪れたのはそんな繁華街の中心部にある、「食堂よしの」である。
土曜日の時刻は11時半頃であったが、暖簾をくぐろうとすると中からはマダムたちの賑やかな話し声が聞こえてきた。随分繁盛しているなあとのぞいてみたら、どうやら店の女将と友達が茶呑み話で盛り上がっている様子。
遠慮しておこうかな、と思った矢先、「あらお客さん、どうぞ〜」と招き入れてくれたので引き返すわけにもいかず、隅っこの席に陣取る。
店内に貼られていたメニュー写真はおばちゃん達に遠慮して撮らなかったが、上の方に飾られていた昭和46年の開店当時のメニューは断りを入れて撮らせてもらった。感覚で言うと現在の1/4くらいだろうか。
女将さんに何が人気か聞いたところ、「う〜んそうですね、今は冷やし中華かな」と言う答え。せっかく来て冷やし中華も何だかなあと改めてメニューを見上げ、「すき焼き定食(¥700)を注文。おばちゃんは女将が調理を始めたのを機にじゃあね、またと一人二人と帰って行き、店内には僕一人となった。急に店内がシンとしてしまい、テレビの音だけが響く。
程なくして運ばれてきたすき焼き定食。¥700という価格からの想像よりもだいぶ豪華だ。汁物が何とうどん。「うちはもともとうどん屋だからね」と女将さん。
うどんは長野特有の、柔らかくだしの風味控えめで、甘じょっぱいタイプ。初めてこのタイプのうどんを食べたときは決して美味いと思わなかったが、慣れてくればこれはこれで美味く感じてくる。人間の味覚というのは誠に勝手なものだと思う。
続いてすき焼き。具は豚バラ肉、玉ねぎ、長ネギ、そして豆腐。豆腐が特に美味い。少し甘め・濃いめの味付けでご飯との相性は抜群。
かなりのボリュームでお腹一杯。¥700で大満足である。
女将さんはさっぱりしたタイプだが、帰り際に「美味しかったです」と言ったら少し照れたように喜んでくれた。
ご馳走様でした、また来ます。それまで元気で。