【千曲市】とんかつあおいで「ソースカツ丼」
坂城で長いこと愛されてきたかき揚げ付きカツ丼
正月明けの3連休の真ん中の日曜日、空は晴れて小春日和である。フラフラとやってきたのは千曲市坂城のこの店。
一見普通の民家のようだが、入り口に近づいてみると…
思わず入ってみたくなる良い雰囲気である。僕が駐車場に入ったのが13時頃、同時に若いカップルが出てきて、店内は貸切状態である。
入るなり店のご主人が初対面の僕に「いらっしゃい、今日も寒いね」と気さくに声をかけてくれた。本当はポカポカと暖かかったのであるが、「そうですね」と応える。
カウンターの上にずらりと並べられた短冊メニュー。なかなか今時の店っぽい力作である。ご主人の作であろうか。個人的にはもっと素っ気ない方がこの店らしい雰囲気が出るとは思うが(勝手なこと申している自覚あり)。しかし、短冊に書き添えられた「自家製ソース」というワードに惹かれ奥さんに「ソースカツ丼(¥800)」を注文してしまった。なんだかんだ言って、短冊のマーケティング戦略にあっさりとハマってしまったのであった。
5分ほどで到着。ソースカツ丼というとソースにどぶ漬けされた真っ茶色のカツが鎮座する色気のないビジュアルが一般的であるが、ここのソースカツ丼は衣のきつね色の部分が残されており、そこにレタスの緑、紅大根の赤も加わって実に色鮮やかな美しい丼である。中野の「山どり」の「五ツ鉢丼」を思い起こさせる。
良く観察すると肝心のカツは小ぶりなヒレカツ1枚で、それが4切れに切り分けられておりボリューム的にはかなり寂しい。そしてそれを補うようにかき揚げが載せらているのが特徴だ。ヒレカツは衣はサクッと、肉はしっとりとした食感で、火の通し加減も油の切れ具合も良くとても美味しい。あっという間に4切れのうちの2切れを食べてしまい残ったご飯とのバランスを見て慌てる。
ここでかき揚げを齧ってみる。少しソースがかけられたサクサクとした衣の中には甘く、中心部に僅かにシャキッとした食感が残った絶妙な揚げ具合の玉ねぎ。この玉ねぎのかき揚げとヒレカツの組み合わせが思いのほか良い。
手作りのソースは塩気も酸味もキツくなく、まろやかな甘味でこれも美味しい。このソースとご飯とカツ・かき揚げの間に敷き詰められたキャベツとレタスのおかげもあって、実にさっぱりと食べられた。ズシンとくるボリューム感はなく、どちらかというと女性向きのソースカツ丼と言えるのではないかと思う。
味噌汁にも柚子の皮がちょっぴり入っていたりして、全体的に上品な印象であった。たまにはこういうソースカツ丼も良い。食べ終えて帰る時はもうランチタイムも終わりで、ご主人はもう奥に引っ込んで休んでいたが、僕の帰り際には「ありがとー」と長野独特のイントネーションで声をかけてくれた。