【野沢温泉村】池光食堂で「かつ丼」

蝉しぐれ賑々しい野沢温泉の食堂でハイカラなかつ丼を堪能

お盆を過ぎてもまだまだ真夏の暑さの8月中旬の土曜日、やってきたのは長野市から50kmほど北上した野沢温泉村。標高の高いここまで来れば少しは涼しかろうと思ったが、やはり暑い。

ただし、用水路を流れている山の湧き水に手をつけたら冷たくて実に気持ちよかった。

冬期はスキー目当ての外国人が大勢訪れ、「果たしてここはどこの国デスカ〜!?」と混乱に陥りそうなこのメイン通りも、今の時期は地元の人や車が時折行き交うくらいで、通りを支配しているのは蝉しぐれだ。

この時期、特に日中に営業している飲食店を探すのも一苦労だが、そんな中で律儀に営業していたのが「池光食堂」。

かなり年季が入っているとはいえ、3階建てのモルタル作りの建物は堂々とした佇まいのかなり立派な建物だ。2階は大宴会場かと思われる。往年はさぞかし賑わったのだろう。

時刻は12時半。店の扉を開けると、地元のおじさん達2組8名が昼飲みをしており店内は思いのほか賑やかであった。

カウンターに座り、壁に貼られた短冊を見る。数種類のラーメンを中心に、3種の丼もの、うどん、カレー類、あとは飲み物のシンプルなメニューだ。ホール係の奥さんに「かつ丼(¥950)」を注文。厨房には旦那さんらしき男性の声が聞こえ、この時期は夫婦二人で店を回しているらしい。

10分ほどで奥さんが僕のかつ丼をテーブルに運んできてくれた瞬間、観光客らしき若者8人の団体が来店し店はほぼ満席となる。彼らの前に入店していて良かった〜。

長野北信で「かつ丼」というと、ソースカツ丼が出てくるのがデフォルトなのだが、ここのカツ丼は卵とじの全国標準的なかつ丼だ。キツネ色に揚げられ、大きめにカットされたカツと、卵の黄色が鮮やかなカツ丼。麩の味噌汁と、キュウリの糠漬け。シンプルながら美しい見た目だ。

カツを口に入れると醤油味の煮汁の後にほのかにウスターソースの甘酸っぱい風味を感じる。よく観察して見ると、カツのコロモの底部分が濃い茶色のソース色に染まっている。ウスターソースを隠し味にした卵とじかつ丼は他でも食べたことがあるが、ここの店は一手間かけている。これにより最初は甘塩っぱい醤油の煮汁の味を感じ、直後にほのかな甘酸っぱさのソースの味を感じるのだ。おそらく観光地にふさわしいハイカラな味にするための工夫だったのだろう。実に懐かしく、美味しいカツ丼だった。

秋になったらこの店の名物、自家製ナメコを使った「ナメコ丼」が提供されるらしい。これも一度食べてみたい。ごちそうさまでした。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。