【佐久市】鈴本食堂で「ラーメン」

ローカル駅前で健闘する創業99年の大衆食堂

6月中旬。梅雨入り前の爽やかな晴天の土曜日。最高のドライブ日和である。やって来たのは佐久市の望月宿。ここに実にいい感じのレトロ食堂があるとの情報を得てはるばるやって来たのである。

しかし、土曜日にもかかわらず店は無情にも閉まっていた。やっていたのはおばあさんということだったから、もしかすると閉店してしまったのかも知れない。この趣味の対象となる店は経営者が高齢である場合が多く、跡取りもいない場合も多いため、体調を崩したりして店に立てなくなればそこでその店は終わり、という実に儚いものである。

仕方ない。

代わりとなる近くのレトロ食堂を探した結果見つけたのが、臼田駅前通りにある鈴本食堂である(実際には結構遠かったが)。この臼田駅、小海線というローカル線の途中駅でありながら、なかなか立派な駅前通りを擁している。ただし立ち並ぶ店はどれも古く、かつての賑わいが偲ばれる。

そんな駅前通りの末端部分にあるのが「鈴本食堂」である。

暖簾には何と「大正12年創業」の文字。実に99年前である。店内には、仕事中の昼飯と思われる地元の若者2名と、観光客らしき4人連れの中年男女。しかしどういった経緯で観光の途中の昼飯にこの店を選んだのだろうか、実に興味深い。

「いらっしゃいませ」と奥から水をお盆に載せたおばあちゃんが出てきた。

駅前食堂らしいメニューラインナップ。それでもほとんどが¥1,000以下であるが、この食材の値上げラッシュの昨今、むしろもっと上げてもいいと思う。無理は禁物だ。

奥の小上がりは畳・壁・窓ガラスが新しくリフォームされている。これはまだまだこの店を続ける意思があるということだ。跡取りがいるのかもしれない。消えゆく店があれば続く店もあり。実に嬉しいではないか。

程なくしておばあちゃんが運んできたラーメン。これは美味そうである。

熱々のスープは醤油の色薄めで豚鶏のまろやかな風味。弱目のウェーブのかかった麺はしっかりした歯応えに茹で上げられている。程良い噛み応えのモモチャーシューが2枚。言ってみればこれといった特徴はないごくごく普通のラーメンなのだが、その普通のレベルが高い。思いがけずひょんなことから美味しいラーメンに出会うことが出来た。

今は人通りもまばらな臼田駅前通り。そこでどっこい健闘している創業99年の大衆食堂。いつまでも頑張って続けてほしい。佐久に来たら必ずまた立ち寄ります!

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。