山喜屋で「ざるそば定食」
この店、僕の自宅から車で5分ほどの距離にありながら、普段は走らない道沿いにあるので最近までその存在を知らなかった。たまたま車で通りかかって、「ん、こんなところに蕎麦屋があるぞ」と見つけて次の日曜日に早速やってきたというわけ。
実に好ましい店構え。まず観光客は来ないような場所である。新しい洗練された蕎麦屋もいいが、1人で来るのであればこんな気取らない店がいい。
民芸調の店内は、さまざまなポスターが貼られており、テレビもついていて実にカジュアルな雰囲気。真ん中の赤いストーブの上には鍋が置かれていて、1本¥100の串おでんである。実にいいねえ。
ホール係は体格のいい若い男性である。厨房に見える壮年のご夫婦の息子かもしれない。良く見て見ると似た体格の若い男性がもう1人いる。兄弟だろうか。若干ぶっきらぼうな印象ではあるが、注文をとったりおでんの鍋の様子を気にしたりとテキパキ働く姿が好ましい。今はちょっと接客態度が悪いとすぐにSNSで叩かれてしまうが、そもそも普段使いの食堂で皆が皆愛想がよくあるべきとも思わない。一番大事なのは真面目に働くことだ。
蕎麦屋としてはオーソドックスなメニュー。ジョギング後で腹ペコの状態であったので、一番ボリュームはあると思われるざるそば定食(¥930)を注文。ちなみに裏面はうどんメニューとなる。
5分ほどで若者が持ってきてくれたざるそば定食。目玉焼きの醤油は最初からかけられて供される。そばとご飯と田舎のおばあちゃんが作ってくれたようなおかずの組み合わせが実にいいねえ。
もうすぐ新蕎麦の季節ながらぼっち盛りのそばは瑞々しく歯応えよく実に美味しかった。ぼっち一つのボリュームが結構あり一口では食べられない。3回くらいに分ける必要がある。
まずはそばをおおかた片付け、目玉焼きをご飯に乗せておかずと共に食べる。そばと目玉焼きの組み合わせって全国的に見てもかなり珍しいのではないだろうか。目玉焼きの他には大葉の天ぷら(これは揚げてから時間が経っていたが)、ひじきの煮付けともやしの和え物と家庭的なお惣菜が盛り付けられている。配膳と同時に蕎麦湯が供されるのでつゆを蕎麦湯で割ったのが汁代りである。
全部平らげると腹一杯になった。肝心のそばも素朴なおかずも大満足である。
若者2人の無骨な接客であったが、それも実に好ましく感じられ、「よし、この店の将来は君たちに任せたぞ」と初回訪問ながら偉そうな感想を持って、店を後にした。