萬宝で「カツ丼」

8月とはいえ、全国の県庁所在地の中で一番高い標高を誇る長野市の朝は涼しく爽やかだ。今日は日曜日、張り切ってジョギングに出かける。しかし日が高くなってくると流石にジリジリと暑い。今日もいい塩梅に日焼けが出来そうだ。

15kmほど走って汗はダラダラ、腹はペコペコ、体が水分とカロリーと塩分を欲しているのを感じる。

走った後の楽しみの昼飯、今日はどうしようかと考えてパッと頭に浮かんだのが、

ほぼ1年ぶりとなる「萬宝」。相変わらず商売っ気のない外観だ。11時半の開店と同時に入店。

店内も、3列ある蛍光灯は1列しか点灯していないし、厨房の中は真っ暗である。座敷の畳は真っ黒で、とても上がる気にはなれない。デートや若い家族連れにお勧めできる店ではない。

切り盛りしているのは僕より若い店主と可愛い奥さんである。二人とも物静かで時折ボソボソと何か話しているが、それにしても活気というものがない。面白いくらいに「場末」という言葉が似合う店である。

しかし、前回食べたもつ煮は実に美味かった。あの味が忘れられず、思わずまた来てしまったのである。

もう腹が減って倒れそうで、店主に「カツ丼(¥1,000)」をオーダー。カツライスと並んでこの店で一番高いメニューである。店主は低いテンションで「はい」と言って調理に取り掛かる。

10分弱で奥さんが運んできてくれた。

アルマイトの盆に乗ったカツ丼と具が少しの味噌汁と市販の壷漬け。飾り気のないシンプルなビジュアルだ。

カツのボリュームはさすがだ。丼の表面を覆い被せるように、200Gくらいはありそうである。

ロース肉の厚さも十分、ものすごく柔らかいわけではないが、適度な噛み応えがかえって嬉しい。味付けも出しの効いた上品なやつではなく、醤油が効いた素朴で力強い味付けだ。疲れた体に染み渡る美味さである。これは美味い。

醤油の効いた濃い茶色の煮汁を纏ったご飯も美味い。ついでに具が少ない熱々の味噌汁も、これまた美味かった。

ここは誰にでもお勧めできる店ではない。もう少し内外装を小綺麗にして、愛想を良くすればものすごい人気店になれるポテンシャルを持っていながら、あくまでこの商売っ気のなさを貫くのも一つのポリシーだろうか。しかし運動や、肉体労働の後の空腹を満たすのにこんなに相応しい店はない。今の時代にこんな表現は相応しくないのかもしれないが、ここはまさに「腹ペコの男のオアシス」、である。

にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。