まちだ食堂で「ナポリタンセット」

昭和の時代からやっているような食堂や定食屋が好きだ。

最近は〇〇専門店、という店が多いが、街食堂のようにラーメンもあればうどんもあり、丼から各種定食からオムライスまであるような店を見つけると嬉しくなってしまう。それぞれのメニューの味はそこそこであってもこれだけの数のメニューを作るのは相当の腕が必要である。

今日は坂城にある「まちだ食堂」にやってきた。

11時半頃に入店したが、外観からの予想よりは奥に広い店内に先客は2組ほど。家族連れと、労働者風のグループである。

それ以外に店員らしき人影は見当たらない。「こんにちは」と声をかけると厨房から中年男性が顔を出し「どうぞ」と言ったので雑然としたカウンターに座る。

しばらくしておばあちゃんが出てきて「注文を紙に書いてください」と言われる。注文は自己申告制のようである。

注文したのは、お勧めメニューの2番目の「ナポリタンセット」(¥850)。

するともう一人のおばあちゃんがゆっくり出てきて、「日替わりもありますけどいいですか」と優しく尋ねながら、欠けた湯飲みでお茶をくれた。

10分程度でナポリタンセットが到着。

意表をついて厚い鉄板でグツグツ言いながら出てきた。ケチャップの甘酸っぱい香りの湯気が顔面にまとわりつく。ちなみに左上の丼はご飯である。ご飯にわざわざ蓋がしてあるのがニクイではないか。

ナポリタンはソースだく系で、これが鉄板でグツグツされながら出てきたのだから非常に熱い。フーフー言いながら啜りこむ。

いや〜アマトリチャーナもプッタネスカもいいけどやっぱりナポリタンって美味いっす。

程よい柔らかさに茹でられたスパゲティとケチャップの甘酸っぱさ、そこに玉ねぎの歯応えがアクセントとなり、絶妙なコンビネーションを醸し出している。プッタネスカはあくまで「パスタ料理」であるが、ナポリタンはれっきとした「麺料理」と言って差し支えないと思う。すなわちプッタネスカは啜って食べるのはNGだが、ナポリタンは許されるのではないだろうか(←許されないかな?)。

一息ついたところで、唐揚げにかぶりつく。唐揚げは生姜の下味が効いた、薄衣の竜田揚げで、家庭的な味わいである。

至福の組み合わせに恍惚としながら食べているうち、はたと気づいた。ここにプリンでも組み合わせれば、これはもう大人のお子様ランチではないかと。追加でプリンを注文しようとしたが、残念ながらプリンはメニューにはなかった。

2人のお婆ちゃんのキャラクターは対照的で、最初に注文を書いて下さいと言ってきたお婆ちゃんはチャキチャキ系、お茶を出してくれたお婆ちゃんはおっとり系である。チャキチャキ婆「あちらのお客さんに三つお茶出して」、おっとり婆「えーなに?」、チャキチャキ婆「だからお茶、そのグラスじゃなくてこっち」などとやりとりをしている。

食べ終わる頃になって、続々と客が入ってきた。二人のお婆ちゃんの末長い活躍を祈って、店を後にした。


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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。