【長野市】秋山食堂で「半ラーメンと半チャーハン定食」
もう出会えないかと思っていた秋山食堂のラーメンに不意に再会
仕事で長野市内を外回り中。すでに13時を回り遅めのランチとする。普段は会社のデスクでパンやカップ麺を食べることが多いので、外で食べられる日はどこで食べようか迷うのだが、これがウキウキする。
「スワロウ」か「いちぶん」か。迷った挙句決めたのが、久々の「秋山食堂」。
13時半、店内に客はいない。テーブルに座る。いつもと変わらぬ店内の風景。しかしふとメニューボードに目をやって釘付けとなった。
「半ラーメンと半チャーハン定食(¥880)」とあるではないか。
一緒に店を切り盛りしていた弟さんが亡くなって店主の一人体制となってから、メニューはだいぶ絞られ名物のラーメンも無くなってしまった。もうあの魚の風味の効いたラーメンは食べられないのかと思っていたのだが、何の前触れもなくこんななんでもない日に再び出会えるとは。
一も二もなく、若干興奮気味に「は、半ラーメンと半チャーハン」とうわずった声で注文。「はいよ〜」と主人。夢ではない。秋山食堂のラーメンを再び食べられるのである。思わず主人に「ラーメン復活したんですね、こりゃ嬉しいなあ」と声をかけたら、「セットだけだけどね〜」と若干つれない返事。よく観察して見ると、ラーメンと半チャーハンと書いてあるボードはいつも期間限定のメニューが書いてあるマジックボードである。従って、ラーメンが定番メニューとして復活したと判断するのは早計で、あくまで店主の気まぐれというか、サービス精神で期間限定で提供してくれることになったのだろう。
少しして、「はい、チャーハン」とチャーハンとサラダが到着。主人はそのまま厨房に引き返してしまう。「えーとラーメンとのセットで頼んだけど大丈夫だよね」と若干不安になるのもいつものこと。チラッと厨房を覗くとちゃんとラーメンを作ってくれている様子なので安心する。
さらに1分ほどで「お待ちどうさま」のよく通る声とともに到着したラーメン。もう会えないかもと思っていたのに思いがけず再開できたラーメン。
僕の記憶にあった秋山食堂のラーメンとは若干違う。まずこんなにスープの醤油の色が濃かったっけ、というのが第一印象。富山のブラックラーメンに匹敵するほどの醤油色の濃さである。スープを啜ってみると、ここのラーメンの特徴であった魚(煮干もしくは鯖と思われる)の風味がない。あくまで鶏メインの動物系のダシに、醤油の風味をストレートに感じるスープである。しかし、これが美味しくないという訳では決してない。変わらないのは脂多めでまろやかな口当たりで、味の染みた柔らかいロースチャーシュー、柔らかいメンマ、ちょうど良い茹で加減の縮れ麺、これはこれで秋山食堂らしい美味しいラーメンだ。
僕にとっては、秋山食堂のマスターが作ったラーメンを再び食べられた、それだけで十分である。感無量である。
チャーハンはいつも通りの美味さ。角切りのバラチャーシューがゴロゴロ入った、しっとり系のチャーハン。いずれも「半」とは名付けられながらも、軽く一人前はあり、十分腹一杯になるのはこれまたいつものこと。
思いがけず再会できた秋山食堂のラーメン。かつてのように定番メニューとして復活してくれればそりゃ嬉しいが、まず第一に望むのはご主人が無理せず長く店を続けてくれること。たまにその気になった時、期間限定でいいからラーメンを復活させてくれればそれで十分である。