【上田市】相生食堂で「五目ラーメン」
上田駅前の歴史を見守ってきた食堂で食べる五目ラーメン
4月上旬の日曜日、やってきたのは長野市から車で1時間ほどの上田市。上田城址公園はまさに桜が満開で、多くの人で賑わっていた。こんな人混みを見るのは実に久しぶりで、新鮮な感じがする。
そんな賑わいを横目に、上田駅近くの狭い路地を入っていくと目に入ってくる「うどん」「定食」ののぼり。街並みにしっくりと馴染んだ外観の「相生食堂」だ。創業は昭和23年だという。引き戸は開け放たれており、初めての僕でも入りやすい。
入ってみると小さな店内であるが、2組の先客があった。一組は壮年のご夫婦。もう1人は若いお姉さんである。若いお姉さん1人でこういう店に入るとはなかなかの度胸だ。客席の真ん中にある大きいテーブルに座る。
壁紙や天井はところどころ変色しており、年季が入っているが決して不潔ではない。
手書きのメニュー表がクリアファイルに挟んでおいてある。定食の充実ぶりに目を見張る。それにしても目玉焼き定食ととんかつ定食の差が¥200、さらに目玉焼き定食よりも煮込みハンバーグ定食の方が安いとは一体どういうことであろうか。目玉焼き定食に対する興味が湧くが、今日は麺の気分であり、五目ラーメン(¥750)をおばちゃんに注文。
五目ラーメンと一口に言うが、実は2種類あって一つは五目あんかけが上に乗せられた醤油ラーメン、いわゆる広東麺である。もう一種類が割と古めの町中華によくあるのだが、タンメンのちょっと具がグレードアップしたバージョンである。この店はどちらであろうか。ちなみに僕は広東麺タイプが好きだが、店の佇まいからしてタンメンタイプが出てきそうな気がする。
予想通り、タンメンタイプが出てきた。丼のほかに小皿が3品。
とはいえ、普通のタンメンと違うのはナルトと、小さな薄焼き卵が載っているくらいである。それにしてもラーメンに薄焼き卵というのは珍しいなあ。
麺を啜ってみる。この手の店のこれまたデフォルトであるのだが、柔らかめの麺と、一口目は少々物足りなく感じる味付け。最初はもう少し濃い方がいいなと思うが、食べ進めるにつれちょうど良くなってくる。スープまで飲み干したくなる優しい味だ。なかなか美味い。
小皿の漬物と惣菜、デザートのパインまでついている。これも優しい。
1人で煮込ハンバーグ定食を食べていたお姉さんが店のおばちゃんと言葉を交わしている。どうもお姉さん、仕事で東京から来たらしい。東京から来てわざわざこの店を選ぶとは、只者ではない。「上田ってとてもいいところですね」と褒められ、上田出身でもないのになぜか嬉しくなってしまい、店を後にした。