【長野市】千石食堂で「モツ煮」「牛丼」

吉田類も訪れた長野の名物居酒屋で昼から飲む最高の連休

令和4年7月17日。3年ぶりの開催となる小布施見にマラソンに出場した。本当に楽しかった。

長野市内に戻って来たが時刻はまだ昼前、このまま自宅マンションに帰るのも物足りなく、昼飯を兼ねて一人反省会をしようという気になった。

昼間からの一人飲みにふさわしい店、でパッと思いついたのは長野駅前の「千石食堂」。日曜日の昼間にやっているかの確証はなかったが、とりあえずやってきた。

店には暖簾も営業中の札もかかっていない。夜であれば灯りがついているかどうかで判断することも出来るが、昼間だとそれも叶わない。思い切って引き戸を引いてみると、ちゃんと営業していた。しかもテーブルには一人の男性客がいる。スーツケースを携えているところからすると観光客であろうか。

先客の隣のテーブルに座り、親父さんにとりあえず「生ビール!」。夜に来るといつも優しくもてなしてくれる奥さんは昼間はおらず、親父さんのワンオペのようだ。

ボードに書かれたメニューはどれも実に魅力的。その中から親父さんに「モツ煮」を注文。

店の中は相変わらずの雑然ぶり。せっかくのカウンターはポットだの酒瓶だのテレビのリモコンだの、雑多なモノに占領されて客席としての機能を果たしていない。客席として使えるのは全体の半分くらいである。しかし、親父さん一人で対応するのにはこれくらいでちょうど良いのかもしれない。

モツ煮が運ばれてきた。

長野で出されるモツ煮は醤油味もしくは味噌味で煮込まれたものが多いのだが、ここのは珍しく白く仕上げられており、汁気も少なめだ。口に入れて噛み締めてみると、あっさりした味付けだけあってモツ本来のクセを感じる。苦手な人は苦手だろうが、長野名物八幡屋礒五郎の七味をふりかけ2口3口食べ進めるうちに、このクセがクセになるのだ。こればビールに実に合う。

先客の男性は会計を済ませ、スーツケースを転がしながら帰っていった。それにしても旅先でわざわざこの店を選ぶとは実に渋いチョイスではないか。

客が僕一人になったので親父さんに話しかけてみた。初めて知ったのだが、夜にホールで接客してくれる女性は奥さんではなく、従業員だということ。奥さんはすでに亡くなったらしい。

店の2階が住居のため、営業していても休みでも生活は変わらないため、年末年始以外は親戚・知人の葬式でもない限り、無休でやっているのだという。「料理はともかく、掃除とか洗濯は大変だねえ」と話してくれた。そんな話を聞くと、雑然とした店内の風景もまた違って見えてくる。

創業者である先代がこの店を始めたのが昭和27年で、今年でちょうど創業70年だという。普通の建築よりもちょっと天井を高くし、天井まで届く大きな窓ガラスを入れたのが先代のこだわりだったらしい。

そんな話を2杯目の生ビールを飲みながら聞いた。

締めに頼んだのはこれまたこの店の人気メニューの牛丼。

決して高級な牛肉ではない。濃い褐色に煮込まれた牛肉はとろけるように柔らかではないし、牛肉特有のクセも残っている。

でもこれがまた最高に美味いんだよね。

「柔らかい」「クセがない」が食べ物の定番の褒め言葉となっている現代において、ここの食べ物は必ずしもそれに合致しない。しかしここの食べ物が美味しくないのかと問われると、決してそんなことはない。親父さんが先代から受け継いで長いこと守ってきた味、少なくとも僕は最高に美味しく頂いた。

ご馳走様でした。どうか無理せず1日でも長く店を続けて下さい。

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Tanoyatsu

単身赴任で長野に来て4年目の40代半ば男子。休日の趣味は水泳、ジョギング。ハラペコを満たしてくれる安くて美味くて大盛りの店を探すのが楽しみ。