【松本市】まんぼう食堂で「特製手打ちラーメン」
アジアを感じさせる店内で食べる素朴な手打ちラーメン
土曜日、一般道ではるばるやって来たのは松本市。目指すのは「まんぼう食堂」である。
Googleマップで古い店を探していたところたまたま見つけ、こりゃ是非行かなきゃと思っていたのである。
しかし駐車場が見当たらない。店が若干道路から引っ込んでおり、そこに停めて良いとの情報もあるが、軽自動車が精々の幅だ。僕の車は大きいので車道に大きくはみ出してしまう。店の前に一旦停めて他に駐車場はあるかと店のおばちゃんに尋ねたところ、店の左隣の公民館の入り口前にも停めていいらしい。こちらもかなりの狭さである。拳ひとつ分くらいまでギリギリに壁に寄せて停める。
11時過ぎの到着とあって一番乗りである。どうだこの店内の雰囲気。
懐かしき日本の食堂、という佇まいでありながら、どこか東南アジアの街角の大衆食堂、という趣も感じる。こりゃいいじゃないか。
注文を聞きに来てくれたおばちゃん。格別の愛想はないが、決して感じが悪いわけではない。おばちゃんに「特製手打ちラーメン(¥700)」を注文。普通のラーメンと手打ちラーメンがあり、手打ちの方は数量限定で、日によっては最初からない時もあるようだ。しからば手打ちが頼める時は手打ちを頼まない手はないだろう。僕が注文した直後に何人かの客が立て続けに訪れる。常連客と思われる人もいたが、常連であろうと初見の客であろうと同じレベルの控えめな愛想で接客するおばちゃんに一本筋の通ったものを感じる。
程なくしておばちゃんが運んできてくれた特製手打ちラーメン。淡い色のスープに、トッピングの鮮やかな緑の小口ネギ、かまぼこの淵の紅色が効いている。素朴ながら、実に美味そうじゃないか。
一見佐野ラーメンにも似た平打ちの麺。啜ってみた第一印象は見た目通り素朴・そして無骨といったところ。しっかりした歯応えではあるが箸で持ち上げるとブツブツと千切れやすい。食べ進めるにつれて、3〜5cmの麺の切れ端が大量に丼の底に沈む状態となる。後半はこれをレンゲで掬って食べるわけだが、この切れ端のスイトンの小さいやつのような食感が、思いがけず美味いのである。
スープがまた個性的だ。ガラのベースは豚鶏、味付けは塩分強めの薄口醤油、うま味調味料も入っているのは間違いないと思うが、更に何か独特の風味を感じる。ラーメンには珍しい小口ネギの風味かもしれない。ちなみにスープの温度はぬるめである。
今時人気の一口目から美味い、と感じさせるラーメンとは対極にあるが、食べ進めるにつれ納得し、クセになりそうな味わいである。
食べ終える頃には店内は満席となった。新しい人気店にも負けず、こうした長年やっている素朴な味の店がちゃんと支持されているというのは極めて健全で、僕のようなものにとっては嬉しい限りではないか。
店の末永い繁盛を祈念して、店を後にした。