たぬき食堂で「ラーメンとソースかつ丼セット」
長野県内には77の市町村がある。長野に住んで3年以上になるが、77のうちどれだけのところに行っただろうか。車で通りかかっただけ、というところも含めれば半分は行ったと思う。しかし飯を食ったことがある市町村となるとこれはまだまだである。どんな小さな村でも必ず安くて美味い店がある。長野にあとどれくらいいられるかは分からないが、一つでも多くの街を訪ねて安くて美味いものを食べたい。
というわけで日曜日のお昼、やってきたのは大町の南隣、松川村である。Googleマップでちょっと気になる店を見つけたのである。
国道から狭い道に入って、田んぼの中をしばらく行くと幟が見えてくる。「なんでこんな場所で?」と驚くような場所である。
どうだこのクセのすごい店構え。農家の敷地内でやっている食堂である。場所が分かりづらいのはそのためだ。こんな場所で商売になるのだろうか。
店内に入ると、すらりとした綺麗な奥さんが「いらっしゃいませ」とチャーミングな笑顔で迎えてくれた。店構えから頑固オヤジみたいのを想像していたのでホッとする。
座ったテーブルの横にふと目をやると、なんとも言えない怪しいメニュー短冊の数々。「おれの作った物が食えないのかい丼」「おこちゃまおむつ巻」ってなんだ。やはりクセの凄さは間違いない。
ちゃんと普通のメニューもあるようだ。セットメニューから「ラーメンとソースカツ丼(¥850)」を注文。僕の後にも近所の人らしい客がポツポツと訪れる。近所に手頃な飲食店がないので重宝されているようだ。
待つことしばし。
来た来た。おお、ボリュームがすごい!価格からしてソースカツ丼は当然ハーフサイズだろうと思っていたのだが、フルサイズである。そこに冷奴、漬物、デザートのオレンジまでついているではないか。
ラーメンは鶏がらスープに中太ウェーブ麺、ロースチャーシューという極めてオーソドックスながらしみじみと美味いラーメン。
ソースカツ丼は小ぶりなロースカツが2切れ。パリッとした衣の中の肉は脂身が綺麗に取り除かれておりあっさりした食べ応えである。甘めのソースがキャベツとご飯に合う。
終盤、かなり腹がキツくなって来たがなんとか収めることが出来た。このボリュームと味で¥850は大満足だ。
パンパンになった腹をさすりながら、松川村を後にした。帰り道、ソバ畑でソバの花が実に綺麗であった。